見積から請求までの情報共有とコミュニケーションをkintoneへ一本化。効率化で生まれた余裕は従業員のケアに
- 個別開発
現場管理見積管理工程管理出来高管理
Client Profile
会社名 | 株式会社フコク |
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本社所在地 | 宮城県仙台市泉区実沢字二ノ関屋敷32番3号 |
設立 | 1995年4月1日 |
事業内容 | 足場のレンタル・リース・販売・仮設工事全般 |
URL | https://259.jp/ |
建設現場やイベントに欠かせない、組立ての"足場"。株式会社フコクは足場のレンタル・販売・仮設工事を生業とし、東北・北関東ではトップクラスのシェアを誇る企業だ。
業界共通の課題である「3K シゴト」の改善にも力を入れており、以前から保障や休日の制度整備を進めてきた。kintone 導入も、そういった働き方改革の一貫であったという。
業務効率を高め、ムダを見直し、残業を削減する。kintone はその実現に大きな効果を上げたという。そこで、kintone を担当してきた総務グループの皆様に、導入の背景から現在の活用までを伺った。
導入の経緯
共有漏れと二重管理、2つの課題が業務を圧迫
かねてより営業と総務の情報共有には、課題が生じていたという。
同社の案件フローは、請け負った現場の進捗を営業が管理し、総務が進捗に応じて請求を発行する、というものだ。請求を行うには、営業と総務間の情報共有が重要だ。しかし、実際には共有漏れが多く、総務から営業への電話確認が常態化していた。
更には二重管理の問題も起きていた。営業は担当現場の進捗を Excel で管理していたが、ファイルを閲覧できるのは担当営業だけ。そのため、総務も独自の管理 Excel を作り、同じ内容を二重で管理するムダが発生していたという。
このムダは決して小さいものではない。電話で確認するにも営業は繋がらないことも多い。折返し待ちですれ違うことも多く、請求作業の遅れ、ひいては残業の原因となっていた。
遅れは全社の売上集計にも影響が出る。経営層からはより早い経過報告を望む声が出ていたが、今の業務フローのままでは不可能なことが明白であった。
田中様 「 前は別のことを頼む余裕もなかった 」
高橋様 「 とにかく時間がかかっていたので。集計に色々と面倒な作業がExcel には多かった 」
当時を振り返る言葉からも、業務を大きく圧迫していたことが伺える。総務だけでなく全社としても、案件フローの改善は喫緊の課題となっていたのである。
導入の効果
見積から請求まで、一気通貫の共有システムを実現
集計作業を効率化し残業を削減するには、情報共有の方法を根本的に変える必要があった。そこでアーセスから提案したのが、kintone を開発基盤にした一気通貫の案件管理アプリだ。
このアプリでは情報の一元管理に重きが置かれた。タブ切替により、案件に関わる見積・発注・売上の情報を確認することができる。これまでは別々の Excel ファイルで管理されていた情報を、1画面に集約することに成功した。
出来高集計表は各現場ごとの出来高を月単位で集計するものだ。このアプリは特に現場担当の利用が多い画面であるため、元々管理をしていた Excel の画面にできる限り近づけて開発が行われた。kintone には無いデザイン開発に苦労も伴ったが、新しいシステムを使う現場のことを考えれば必要なものであった。
この案件管理アプリは複数のアプリで構成されている。見積前に行う調査、現場ごとの出来高入力、全体の進捗工程管理、これらは別々のアプリから営業が入力を行なっている。使い勝手、データ管理の面から、敢えて分けての開発が行われたのだ。
入力する場所は別だが、データは自動的に案件管理へ集約される。これは、ただ関連表示するだけではない。例えば出来高は自動で累計金額の集計を行っている。
高橋様「 ここの現場は何%と、毎日 Excel に一行ごと入力していました。このアプリのおかげで、営業の人が入れると自動的に集計されるようになりました 」
これまで必要だった手作業での集計は不要になり、営業が入力すれば請求・売上まで繋がるようになった。二重の報告・管理は解消され、業務のムダが一気に解消されたのである。
コメント・通知機能による思わぬ効率化
情報共有の効率化という観点では、コメント機能の活用も効率化に貢献している。社内連絡が電話からコメントに移行したことで、思わぬ効率化の効果があったという。
特に活用されているのが、営業との請求に関わる確認だ。集計が自動化されても、個別の調整や、それに関わる確認が無くなることはないだろう。その連絡が電話のままでは、折返し待ちやすれ違いのムダが残り続けてしまう。
しかし、コメントを使えば担当宛に通知されるため、リアルタイムでなくとも相手に伝えることができるようになる。これにより、「電話をかけ直す」を覚えておくタスクは必要無くなり、また頭の中から忘れてしまっても良い。必要な時は案件のレコードを見返せばよく、記録が残ることはとても便利だという。
同じく高い効果を見せていたのが通知機能だ。請求が必要になったタイミングで、自動的にアラートをする設定が大きな効率化に繋がっているという。これは kintone の「レコードの条件通知」機能を利用している。
工事が終わると請求を行うが、それは内勤の総務には見えづらい情報だ。これまでは自分達から確認していたが、今では営業がステータスを変えれば自動で連絡が届く。通知をキッカケに請求をすれば良いため、能動的に確認する手間が無くなったのだ。
これらは kintone の標準的な機能のため、お客様自身でも設定が可能だ。自ら作ったアプリも増えており、通知機能などを組み合わせて活用することで更なる効率化を図っている。
例えばトラックの車検期限を管理する「トラック管理アプリ」では、車検管理を効率化することに成功した。担当営業には車検の一ヶ月前に自動通知するので、何もせずとも更新が完結することが増えたそうだ。
kintoneが社内全体の情報共有を実現
kintone は全てにおいて手間を減らしたのか。それはNoだ。事実、営業から見れば入力の手間が増えた面もあるという。
しかし、その手間以上に、改善効果は高いものであった。対応漏れの防止はお客様の信頼向上に繋がり、また社外からできる作業が増えたことで業務スピードも向上した。支店とは情報が隔絶された状態だったが、同じ資料を共有することも可能となった。
その効果を田中様はこう語る。
「お客様から急なお仕事の依頼を受けた時、外からでも確認が可能になりました。今までは会社に戻り、パソコンを開かないと分からなかったことが、外でも確認できます。自社に限らず協力会社へ依頼する工事においても、協力会社様との連絡が速く・正確に行うことができます 」
そして、総務には良い意味での余裕が生まれた。以前は集計作業にとにかく時間がかかっていたが、今では他の業務に着手できる時間が生まれた。
その一例が、実習生のケアだ。
外国人実習生も増える中、異国に慣れない彼らにはサポートが必要だ。高橋様が積極的にコミュニケーションを取ることで、今では実習生から「お母さん」と親しまれているという。
この様に、kintone
導入は二重管理のムダを削減し、業務の効率化に貢献した。
その一番の効果は社内全体での情報共有の実現だという。
バラバラだった情報が集まり、関連する情報が繋がる。
フコク様の社内では、情報が今までに無い速度で共有されるようになった。アプリが増え続ける今、共有の速さはこれからも増すばかりだ。