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導入事例

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現場の商談情報を関連部署に共有する基盤整備を実現
kintoneのアジャイル開発に最適な定額開発サービス

  • 定額開発

案件管理 生産管理

Client Profile

会社名 ロート製薬株式会社
本社所在地 大阪府大阪市生野区巽西1-8-1
設立 1949年9月15日
事業内容 医薬品・化粧品・機能性食品等の製造販売
URL https://www.rohto.co.jp/

OTC医薬品や化粧品などヘルス&ビューティー事業を中心に事業を展開するロート製薬株式会社では、営業担当者が入手した現場での商談情報をスピーディに社内共有するための仕組みとしてサイボウズが提供するkintoneおよびグレープシティ株式会社のkintoneプラグインのkrewシリーズを活用、合わせて株式会社アーセスが提供する定額開発サービスを利用し、迅速かつ効率的な開発体制を整えている。その経緯について、営業開発部 営業企画推進部 柴田 久也氏にお話を伺った。

課題

営業のインプット情報の重要性から、商談情報の共有基盤づくりが急務に

1899年に胃腸薬の販売を手掛ける事業にて創業し、世の中を健康にするためにどんな困難にもめげず常識の枠を超えてチャレンジし続けることを目指した「NEVER SAY NEVER」をCIに掲げ、世界中に美と健康を届けるべくさまざまな事業を展開しているロート製薬株式会社。目薬や胃腸薬といったOTC医薬品や化粧品を扱うヘルス&ビューティー事業をはじめ、レストランや機能性食品、農業といった食に関連したビジネスを行う食事業、独自の最先端技術を生かした再生医療事業、世界110カ国以上にグループを展開するグローバル事業などを手掛けている。

なかでも薬局や小売店などで入手できるOTC医薬品の分野は、トレンドや消費者動向が目まぐるしく変化する市場の1つ。その変化に対応するためには、日々行われている小売業との商談情報を、営業部門だけでなく、マーケティングや調達、生産部門にまで迅速に共有していくことが求められている。「マーケティング戦略や原料調達、生産ラインの稼働計画など、あらゆる場面において営業がインプットした情報を軸に動かすことになります。商談情報は、我々にとって非常に大事な情報なのです」と柴田氏は説明する。

ロート製薬株式会社 柴田久也氏

そんな同社では、2030年のありたい姿を示した「ロートグループ統合経営ビジョン2030」を2019年に策定し、Connect for Well-beingをビジョンに今後注力する事業領域を明確化したうえで、さまざまな制度改革が推し進められてきた。そこで検討されたのが、以前から課題となっていた営業現場の情報を迅速に共有するための仕組みづくりだ。「日報や週報など報告の仕組みは存在していましたが、ルールが徹底されていない面も。例えば生産現場に必要な発注数などの管理は、日報とは別に手作業で作成されたExcelで行っており、締切直前に慌てて入力を依頼したり、営業担当者に数量を確認したりといった、煩雑な業務となっていたのです」と柴田氏。

そこで手始めに検討したのは、医薬品をはじめ、日焼け止めやリップクリームといったシーズン商品に関する商談情報の共有だった。キャラクターとのコラボレーションや大容量サイズ、異なるフレーバ展開などが行われるシーズン商品は、複数の商材を組み合わせて販売する企画品やセット品として、期間や数量限定で販売されるケースが多い。そのため、ドラッグストアなどにどの程度販売するのか、営業担当者が自己申告する情報をベースに生産計画を立案している。この情報がExcelを中心にやり取りされており、その情報共有に関して課題が顕在化していた。「最初に自己申告した目標数と、実際の商談過程で決定した数字、いわゆる責任数には予実としてのギャップが生まれますが、この商談経過が把握しづらい状況でした。このプロセスをきちんと共有できる環境を整備しようと考えたのです」と柴田氏。

選定

要件を満たすkrewシリーズ、定額開発が大きな魅力のアーセスを選択

そこで、現場のITリテラシも考慮したうえで、現場に合わせて柔軟に変更できる汎用的なツールとしてサイボウズのkintoneを、そしてアプリ内の情報が自動更新でき、Excelライクなインターフェースを実現するプラグインとしてkrewシリーズに注目した。

しかし、プラグインを適用して現場に最適な環境を整備するには、柴田氏だけでは手に負えない部分もあり、開発精度を高めながら現場への展開を迅速に行うべく、ディベロッパーの力を借りることに。そこで声をかけたのが、kintoneプラグインの提供や定額開発サービスを提供するアーセスだった。「kintoneはスピーディなアジャイル開発に向いているツールですが、アジャイル開発を行う上では円滑にコミュニケーションが取れるだけでなく、要件を的確にくみ取っていただけるパートナーの存在が必要です。その意味では、以前一緒に仕事をした経験があるアーセスであればお任せできると考えたのです」と柴田氏。

また、PDCAを回しながら改善していくことが現場に使いやすい仕組みづくりには重要であり、一緒に併走してもらえる体制づくりも求められた。「アーセスが提供する定額開発サービスであれば、カスタマイズのお願いはもちろん、マスター更新や情報インポートといった、ボリュームのある作業を定額サービスの範囲内で引き受けていただけます。コスト管理も容易になるため、定額開発サービスは大きな魅力の1つでした」と柴田氏。

結果として、営業がインプットするべき商談情報に関する情報共有基盤にkintoneおよびkrewシリーズが、kintoneアプリの開発含めた運用支援を行うサービスとして、アーセスの定額開発サービスが選択されることになる。

効果

kintoneによる業務改善のプロセスに最適な定額開発サービス

BPレポートアプリ、店頭レポートアプリ、セット品・企画品積み上げアプリ等の概略図

kintoneおよびkrewシリーズが営業現場の情報可視化に大きく貢献

現在はヘルス&ビューティー事業に関わる全国の営業担当者およびマーケティン部門や生産部門なども含めて、430ほどのアカウントでkintoneを運用しており、100を超える数のkintoneアプリが作成されている。その中心となるのが、営業部門全員が利用するアプリで、BPレポートアプリ、店頭レポートアプリ、セット品・企画品積み上げアプリの3つが用意されており、krewDataやkrewSheetを活用して情報更新の自動化や使いやすい環境が整えられている。他にもPOPといった顧客専用の販促物申請を行うオリジナル販促物依頼アプリや社用車の運行状況を管理するアプリなどもあり、一部は柴田氏自身がアプリ作成を行っている。チームごとに営業販促施策のポイントを集計するアプリでは、活動内容に応じて付与されたポイントを集計する際にkrewDataが活用されている。

同社では営業担当者をBusiness Planner(BP)と呼称しているが、取引先となる小売業の本部に対して行った商談情報を日報代わりに毎日入力するのがBPレポートアプリだ。このBPレポートアプリに商談情報の入力を集中させ、そこにさえ入力すれば他のアプリへ自動更新され、関連部門に必要な情報が容易に共有できるなど、ITに詳しくないBPでも負担なく運用できるよう工夫されている。このアプリ内では、商談内にて確定した企画品・セット品の責任数を入力し、責任数の合意に至った商談の進捗履歴が的確に記録されるため、管理側で商談進捗が把握できるようになる。

セット品・企画品積み上げアプリでは、BPが自己申告する顧客ごとの目標数を事前入力する運用となっており、従来Excelで行っていたインターフェースが踏襲できるよう、krewSheetが適用されている。BPアプリ上で期日までに確定した責任数が、krewDataを使ってこのセット品・企画品積み上げアプリ側に自動的に反映されるようになり、当初の目標数と商談後に確定した責任数の差異が管理できるようになる。このアプリ上で確定した情報を、営業企画推進部が情報を集計し、生産部門に生産数量を通知する形になる。

店頭レポートアプリは、ドラッグストアなどの店頭でのPOP展開や競合の動きなど現場での気づきを業務報告するもので、POPの差し替えや陳列作業といったBP自身が店頭で行った作業報告が、写真も含めて共有できるようになる。「我々は現場重視、店頭重視の意識を常に持っており、店頭の状況を的確に把握することが必要です。BPは担当外の店舗における活動状況を参考に、自身が担当する店舗にそのノウハウを生かすことが可能です」と柴田氏。現場重視の姿勢が強い同社だけに、他部門も含めて多くの人が店頭レポートアプリを閲覧している状況にあるという。

krewData/krewSheet導入による作業工数削減効果

新たな環境で70%を超える業務負荷軽減に、商談プロセスの可視化も実現

今回kintoneとkrewシリーズを駆使して環境整備を行ったことで、以前はExcelで行っていた企画品やセット品の集計業務や目視によるチェック、未入力がある場合の担当者向けのリマインダー、締切タイミングに行っていたExcelファイルの編集不可など一連の業務に52時間あまりを要していたが、新たな環境に移行したことで14時間ほどにまで短縮でき、70%を超える業務負荷の軽減につながっている。「業務の効率化はもちろん、商談プロセスの可視化も実現しており、マネジメントの面でも効果が得られています」と柴田氏は評価する。スマートフォンから日報業務が実施できるだけでなく、krewSheetによって従来の運用を踏襲することで報告業務の負担軽減につながっているなど、営業担当者へのメリットも大きいという。

アジャイル開発に優れたkintoneに最適な定額開発サービスは大きな魅力

今回は、アーセスが提供している定額開発サービスのスタンダードプランを採用し、定期的なミーティングを介して新たな機能追加や既存環境の改善などを行うなど、アジャイル開発に適したkintoneの柔軟性を生かした開発体制を整えている。「新たな機能実装やプラグインを活用した改善など迅速な対応スピードに現場からは評価の声が寄せられています。定額開発サービスを提供してくれる強力なパートナーと連携しているからこそ、その評価につながっているのは間違いありません」と柴田氏は高く評価する。また、さまざまな要望を出すと、それを上回る返答が来ることも多く、技術的な支援だけでなく現場の使い勝手も視野に入れながら新たなアイデアが提案されるなど、現場のことを意識しながらサポートする姿勢も高く評価しているポイントだ。

実はkrewシリーズだけでなく、アーセスが提供するスケジュール管理のKOYOMIやガントチャートで工程管理できるKOUTEIをはじめ、他社のものも含めてさまざまなプラグインが現場の業務に生かされている。「krewシリーズに関する修正や仕様の確認などの問い合わせはもちろん、他社プラグインに関する窓口も全てアーセスに一本化できており、管理する立場としてとてもありがたい。定額開発サービスについては、kintoneに関連したものを中心に、AWSとの連携も含めて支援の幅が広いのが魅力の1つ」と柴田氏。
なお、仙台に拠点を構えるアーセスとは、コロナ禍の影響もあってリモートでのサポートが中心だが、オンライン上でも支障なく安定した開発が実施できていると柴田氏。今後も定額開発サービスを通じて同社の業務環境を改善していくための体制を継続して行きたいという。

適用商材をさらに拡張していきながら、情報の可視化を促すkrewDashboardに期待

現在はシーズン商品という、ある意味スポット的な商材をターゲットにしているが、今後はNB(National Brand)品も含めた営業商談の進捗把握や調達数の申告にも展開していきたいという。「我々の商品は改廃しているものも含めて常時1200ほどのSKU(品目数)を扱っているため、全ての商品をこの仕組みに載せていくことは難しいものの、ブランド品や注力すべき新商品などについては、kintoneとkrewシリーズの組み合わせで進めていきたい」と柴田氏。また、kintone上に蓄積された数字を可視化する環境づくりについても検討を進めており、krewDashboardに期待を寄せている。「情報の視認性を高めることで、出荷状況の進捗や商談情報のステータスを可視化したいといったニーズは高い。そこにkrewDashboardが適用できると考えています」と柴田氏。

実は営業部門だけでなく、すでに広報部門や人事総務部門、別事業部となる再生医療部門などがkintoneを活用している状況で、社内的にはkintoneが広がりつつある状況にある。「他の部署や他の事業部門が抱える現場の課題にkintoneやkrewシリーズが生かせるということを意識的に広めている部分もあります。すでに現場で紙やExcelで行っている業務をkintone化したいという声も寄せられているほど。今後もアーセスに協力いただきながら、kintoneやkrewシリーズを広めていきたい」と今後について柴田氏に語っていただいた。

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